伊藤拓真

プロ入り前

大阪桐蔭高等学校では一年時に投手と外野手を兼任していたが、投手としての才能を監督に見込まれ二年時から投手に専任し、エースとして夏の甲子園大会に出場し、常総学院、熊本工業に2度の完封勝利を達成するなど大活躍を見せ、チームを準優勝に導いた。阪急ジャガーズが交渉権を勝ち取り契約金1億円、年俸2千万円、出来高5千万円で契約を結んだ。

阪急時代

2005年7月11日の中京ドラゴンズ戦でリリーフとしてプロ初登板を果たし1回を無失点に抑えると、8月16日の東京リアノスパローズ戦では先発として6回1失点の好投でプロ初勝利を挙げる。9月2日の京都ブレーブス戦ではプロ初完投初完封(2安打、13奪三振)を達成。高卒新人の完封勝利はチームでは1985年の田村英重以来20年ぶりの快挙であった。最終的に5勝(1敗)を記録。

2006年は開幕から先発ローテーション入りを果たすもコントロールに苦しむ投球が続き、防御率5.99と精細を欠いた。6月には2試合連続完投勝利を挙げるなどポテンシャルの高さを示したが、それ以降は1勝も挙げることなく8月下旬に二軍落ちし、一軍登板を果たせぬままシーズンを終えた。

2007年はオープン戦でも結果が残せず二軍で開幕を迎える。6月20日に昇格し、朝日ガーディアンズ戦でようやく一軍初登板を果たすも1イニング投げきることなく7失点の大乱調で再び二軍降格となる。その後は二軍でも防御率4.31と精細を欠き、結局一軍登板は前述の1試合のみに留まった。

2008年は春季キャンプで課題の制球難を克服するべく、テイクバックを従来より小さめに取る投球フォームの改造に取り組んだ。開幕こそ二軍で迎えたものの4月22日に一軍昇格し、その日の宮城イーグルス戦に登板すると6回1失点の好投で1年10ヶ月ぶりの勝利投手となった。その後も好不調の波はあったもののコンスタントに勝ち星を重ね、自己最多の8勝をマーク。防御率も最終登板となった朝日ガーディアンズ戦で7失点を喫するまで3点台をキープするなど、前年までに比べ安定感の向上が見られた。

2009年は、エース中川慶のメジャー移籍やベテランの柳原剛の衰えなどもあり、新エースとして期待をかけられての開幕となった。開幕2戦目の京都ブレーブス戦に登板し8回1失点14奪三振の快投で勝利投手となる。しかし、その後は度重なる背信投球により10連敗を喫し、8月1日時点での成績は1勝10敗、防御率7.22と凄惨たるものであった。8月15日の中京ドラゴンズ戦では2失点完投勝利を達成するなど度々好投を見せていたものの黒星先行は変わらず、最終的に4勝16敗と大幅に負け越し、防御率6.63は規定投球回到達者としては2リーグ制以降のワースト記録だった。

長身を活かした最速157km/h、平均148km/hのストレートを主体に、球速差のある二種類のカーブに加えスライダー、フォークを武器とする。球種はさほど多くないがどの変化球も精度が高くウィニングショットになり得る切れ味を誇る。かつては四死球が投球イニング数の半分以上を占める極度の制球難であったが、ローテーションに定着した2013年以降大幅に改善し、逆にリーグ最低の四死球率を記録するまでになった。

年度別投手成績

年 度	球 団	登 板	先 発	完 投	完 封	無 四 球	勝 利	敗 戦	セ 丨 ブ	ホ 丨 ル ド	勝 率	打 者	投 球 回	被 安 打	被 本 塁 打	与 四 球	敬 遠	与 死 球	奪 三 振	暴 投	ボ 丨 ク	失 点	自 責 点	防 御 率	W H I P
2005	阪急	12	7	1	1	1	5	1	0	1	.833	229	50.1	52	7	24	1	2	40	5	0	27	26	4.65	1.51
2006		17	17	2	0	0	3	8	0	0	.273	479	100.2	107	14	63	3	7	100	10	1	70	67	5.99	1.69
2007		1	0	0	0	0	0	1	0	0	.000	11	2/3	7	2	2	0	0	0	0	0	7	7	94.50	13.50
2008		22	19	2	0	0	8	6	0	2	.571	574	124.0	116	13	78	2	8	112	12	1	63	56	4.06	1.56
2009		25	25	1	0	0	4	16	0	0	.200	720	146.2	166	21	101	6	13	130	25	4	112	108	6.63	1.82
2010		51	6	0	0	0	4	5	0	12	.444	371	83.1	76	10	40	3	5	85	9	1	47	47	5.08	1.39
2011		3	3	0	0	0	0	2	0	0	.000	46	8.0	9	0	10	0	3	7	8	0	8	7	7.88	2.38
2012		1	0	0	0	0	0	0	0	0	.---	15	4.1	1	1	1	0	0	8	1	0	2	2	4.15	0.46
2013		25	25	10	4	1	15	3	0	0	.833	735	178.1	130	12	65	1	5	195	5	0	59	53	2.67	1.09
2014		28	28	11	3	2	15	7	0	0	.682	819	203.0	137	5	70	3	3	234	3	0	49	43	1.91	1.02
2015		29	29	8	4	1	18	6	0	0	.750	817	205.2	150	12	48	0	2	230	4	0	66	51	2.23	0.96
2016		21	21	4	2	0	9	5	0	0	.643	640	154.1	135	9	38	1	4	170	2	0	64	58	3.38	1.12
2017		27	27	4	2	2	13	6	0	0	.684	773	190.0	156	9	45	2	2	199	2	0	58	52	2.46	1.06
2018		25	25	2	1	1	10	8	0	0	.556	703	173.0	150	14	29	1	5	180	3	1	60	54	2.81	1.03
通算：14年		287	232	45	17	8	104	74	0	15	.584	6932	1622.1	1392	129	614	23	59	1690	89	8	692	631	3.50	1.24

• 各年度の太字はリーグ最高

記録

• 大阪府出身の人物一覧
• 阪急ジャガーズの選手一覧

• 個人年度別成績 伊藤拓真 - NPB.jp 日本野球機構
• 選手の各国通算成績 Baseball-Reference、The Baseball Cube、MLB